伝統的な知恵技術の活用
隈本コマは1899年の創業以前、地元福岡県八女市の伝統工芸である提灯や仏壇の木の部品作りに携わっていました。
部品加工に必要なのは、轆轤(ろくろ)を使って、木を手作業で削る技術。
そのろくろの技を生かして、われわれ隈本コマは、こま作りをスタートし、今に技術をつないでいるのです。
われわれ隈本コマの木を削る技術は、こまだけにとどまらず、けん玉、積み木などさまざまな木のおもちゃ作りのほか、家具の街・大川市の工場に依頼された家具部品づくりにも活用されています。
隈本木工所が誕生して、120年の歴史の中で、ろくろと手削りの技術は代々引き継がれ、私、隈本知伸で6代目になります。
伝承は楽ではありません。
こまの材料となる木をろくろにセット。
木に刃物を当てながら、ろくろを回し、こまの形に削っていく日々。
先代の父の作業を目で見て、真似して、体で覚えました。
1人前として認められる、こまを作れるようになるには、10年の修行は必要でした。
技術に自信があるからこそ、温かみのあるおもちゃは、どこにも負けないと自負しています。
隈本コマの新たな挑戦
現在機械が進化し、隈本コマでも3Dの形状を削る機械を導入していますが、最後には必ず人の手で研磨しています。われわれ隈本コマは手削りの技術と3Dの技術を使ったオンリーワンの商品づくりにも挑戦しています。
どんなに高性能のロボットが登場しても、材料となる木は硬さなどが1つ1つ違います。だから、最後には人の手の感覚が必要で、丸みや質感など、温かみのあるおもちゃに仕上がるように心を込めて作ります。
木のおもちゃは、人間が使って遊ぶものです。
人が手にするものは、人の温かみが必要。
隈本コマは今後も、手づくりにこだわり、技を後世に残していきたいと思っています。