仲間と楽しむ、遊びを広げる
かつては、どこの地域でも冬場の風物詩となっていた、こま遊び。
福岡では、鉄芯の和ごまである「博多ごま」や「八女ごま」を互いにぶつけ合って、長く回した方が勝利する「けんかごま」に、子どもたちは夢中でした。
今の子どもたちに、こまの楽しさを伝えている「福岡県和ごま競技普及協会」は設立趣旨の中で、「我々大人は、地域社会に育てられてきた」と説明し、「そこではガキ大将がいて遊びを取り仕切り、小さい子に遊びを教え、伝承させてきた。こま回しもそのひとつである」と書いています。
また、「技に限りがないので飽きない」と遊びとしての楽しさを強調。
「異年齢で遊べ、誰か取り仕切るものが現れるので、リーダーシップなど社会性も身につく」と仲間づくりや社会ルールの学び場になると説きます。さらに「負けたら次に勝とうという新たな挑戦意欲を奮い立たせる」と、意欲のある子どもに育つと、こま遊びの効果を説いています。
まさにその通りだと思います。
「福岡県和ごま競技普及協会」が太宰府市で指導している子どもたちは、上級生が下級生にこまの回し方を教え、互いに競うことで、どんどん上達していきます。テレビゲームなど室内遊び、1人での遊びが増えている中で、仲間たちと和ごまを通じて楽しむ世界が太宰府の子どもたちにはあります。
隈本コマは、地元の福岡県八女市で開かれた祭り「あかりとちゃっぽんぽん」で、「和ごま大会」を開きました。「福岡県和ごま競技普及協会」の協力のもと、太宰府の子どもたちを「指導員」として、こまにほとんど触れたことのない子たちに、回し方を教えてもらいました。みんな本当に楽しそうでした。今までこま遊びをしたことのない子どもたちは、新たな遊びを経験し、目をキラキラと輝かせていました。
団体戦で長くこまを回す勝負では、仲間と協力しながら競う楽しさ。けんかごまでは、勝った喜び、負けた悔しさが、子どもたちの表情に見てとれました。
大人そっちのけで楽しむ子どもたち。
そのこま回しへの熱中ぶりを見て、私たち隈本コマがつくっている伝統の和ごまが、今の子どもたちにも十分に受け入れられる遊びだと確信しました。
仲間と楽しめ、遊びの幅も広げられる。
隈本コマは、そんなこま遊びの文化をつないでいきたいと思っています。